一泊二日の旅行における穴場とは、行き先の知名度ではなく「空いている時期」と「空いている宿の種類」から選んだ旅先のことです。
観光庁の「旅行・観光消費動向調査」2025年年間値(確報)によると、宿泊をともなう旅の旅行単価は1人1回あたり72,412円、日帰りは20,000円でした。その差は約5万円です。大半は宿代と旅先での滞在費が占めます。マネースタディ埼玉では、この5万円をどこまで圧縮できるかという視点で旅先選びを整理しました。
連休のたびに「どこかへ行きたいが、家族4人だと軽く10万円を超える」という悩みにぶつかります。行き先を変えるより先に効くのは、実は宿の種類と日程のずらし方でした。公的統計を見ると、同じ日本国内でも「常に埋まっている宿」と「半分以上が空いている宿」がはっきり分かれています。
この記事では、埼玉から電車や車で行ける範囲を前提に、一泊二日の旅費がどこで決まるのか、穴場をどう見分けるのか、いくら変わるのかを数字で追いかけました。観光スポットの羅列ではなく、旅費を抑えるための判断材料として読んでください。
一泊二日の旅費は「宿代」の前に何で決まるのか
総額を左右する最大の変数は、行き先そのものではなく「泊まるか、泊まらないか」と「いつ泊まるか」の2つでした。なぜなら、交通費と観光費は行き先が同じならあまり動かないのに対し、宿代だけは同じ部屋でも日によって倍近く変わるからです。
観光庁の「旅行・観光消費動向調査 2025年年間値(確報)」(出典)によると、2025年の日本人国内旅行消費額は26兆7,845億円でした。内訳は宿泊をともなう旅が21兆7,211億円、日帰りが5兆634億円です。国内の旅に使われたお金の約8割が、泊まりの旅に向かっている計算になります。
より細かい単価も公表されています。同調査の概要資料(PDF)では、2025年の日本人国内旅行1人1回あたり旅行支出が48,424円でした。うち泊まりの旅は72,412円、日帰りは20,000円です。参加費・交通費・宿泊費・飲食費・買物代などが、この金額に含まれます。
単価は上昇局面にあります。同庁が公表した2026年4-6月期の1次速報(出典)では、日本人の国内旅行単価が50,381円、前年同期比で8.2%増でした。去年と同じ旅をしても高くつく環境だということです。

空いている宿と埋まっている宿は、施設の種類で分かれている
「穴場」を探すとき、多くの人は地名から入ります。ところが公的統計が示すのは、同じ日本でも施設の種類によって空き方がまったく違うという事実でした。
観光庁の「宿泊旅行統計調査」2026年7月・第1次速報(PDF)は、施設タイプ別の客室稼働率を公表しています。数値は次のとおりです。
「2026年7月の客室稼働率は全体で60.8%となった。」
— 観光庁「宿泊旅行統計調査」2026年7月・第1次速報(出典PDF)
| 施設の種類 | 2026年7月の客室稼働率 | 読み取れること |
|---|---|---|
| ビジネスホテル | 74.2% | 最も埋まりやすい。出張需要と重なる平日は取りにくい |
| シティホテル | 71.9% | 都市部中心。週末は価格が跳ねやすい |
| リゾートホテル | 59.6% | 全体平均並み。季節による振れ幅が大きい |
| 旅館 | 40.6% | 6割近くが空室。狙い方しだいで余地が残る |
| 簡易宿所 | 30.9% | 最も空いている。設備を割り切れる人向け |
全体で60.8%ということは、平均しても4割の部屋が空いたまま夜を迎えている計算になります。とりわけ旅館は40.6%、簡易宿所は30.9%と、需要が集中していません。「宿が取れない」と感じるのは、多くの場合ビジネスホテルとシティホテルだけを見ているからでした。
もっとも、空いている宿にはそれなりの理由もあります。両面を並べておきます。
| 稼働率の低い宿を選ぶメリット | デメリット・注意点 |
|---|---|
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節約の全体像を先に押さえたい場合は、マネースタディ埼玉の節約旅行の賢い方法7選もあわせて確認してください。
穴場を見分ける4つの基準
行き先リストを眺める前に、次の順番で条件を絞ると候補が一気に減ります。
- 移動時間が片道2時間以内か:一泊二日は正味の滞在が約24時間しかありません。片道3時間を超えると、滞在している時間より移動している時間のほうが体感で長くなってしまいます。
- 宿の種類を先に決めているか:前掲のとおり、旅館と簡易宿所には空きが残っていました。地名より先に「旅館で探す」と決めるほうが、選択肢は広がります。
- 日曜泊・平日泊にずらせるか:土曜泊は最も需要が集中する枠です。1日ずらせるかどうかで、同じ部屋の価格が変わります。
- 交通費の割引条件に合っているか:車ならETCの割引、電車なら特急料金の有無で総額が動きます。行き先を決める前に、使える割引を洗い出しておくと無駄がありません。
この4点を満たす行き先は、有名観光地の隣町や、温泉地のうち駅から少し離れたエリアに集まりやすい傾向があります。なぜなら、知名度と交通利便性が高い場所ほど需要が集中し、価格も部屋の埋まり方も先に動くからです。

埼玉から一泊二日で無理がない範囲と、かかるお金
埼玉県内からの出発は、短い旅程と相性がよい条件がそろっています。関越自動車道・東北自動車道・圏央道が通り、鉄道も西武線・東武線・JR・秩父鉄道が県内をカバーしているためです。首都圏の南側から出る場合に比べ、北関東や秩父方面へ向かうときの移動時間が短く済みます。
電車で行く場合:特急料金だけを上乗せする考え方
県内から向かう代表的なルートのひとつが秩父方面です。西武鉄道の「池袋線 特急ラビュー」の案内(西武鉄道)によると、ちちぶ号は池袋・所沢・入間市・飯能・横瀬・西武秩父に停車します。終点まで乗る場合の大人の特急料金は、池袋発が900円、所沢発が600円でした。
ここで押さえておきたいのは、特急料金が乗車券とは別に必要な上乗せ分だという点です。所沢から乗れば600円で済み、池袋まで出てから乗ると900円かかります。県内で乗車したほうが上乗せ分は300円少なく、乗っている時間も短くなります。埼玉在住であることが、そのまま交通費の差になって表れる例です。
車で行く場合:割引が効く曜日を先に決める
家族や大人数なら、車のほうが1人あたりの負担は下がります。ここで効くのが高速道路の割引でした。NEXCO東日本のドラぷら「ETC 休日割引」(NEXCO東日本)には、次のように記載されています。
「普通車・軽自動車等限定で、地方部の高速道路が30%割引になります。土日・祝日のお出かけがお得になる割引制度です。」
— NEXCO東日本 ドラぷら「ETC 休日割引」(出典)
対象は普通車と軽自動車等に限られ、割引が適用されるのは地方部の区間です。往復で高速代が1万円かかる行程なら、条件に合致した場合の差は数千円規模になります。宿をひとつ上のランクにするか、夕食を外で取るかを決められる金額でした。
電車と車のどちらが安いかは、人数で反転します。1人か2人なら特急料金を払っても鉄道が有利になりやすく、3人以上なら高速代とガソリン代を頭割りできる車に分がある、という整理です。マネースタディ埼玉としては、人数を先に確定させてから交通手段を選ぶ順番をおすすめします。
短い旅程で起きやすい失敗と、事前に潰しておく注意点
日数が少ないほど、小さな見落としが総額に響きます。よくあるリスクを4つ挙げました。
- チェックイン時刻に間に合わない:夕食付きの旅館は提供時間が決まっていることが多く、到着が遅れると食事が付かない扱いになる場合もあります。出発時刻は「渋滞込み」で逆算しておくと安全です。
- 駐車場代を計算に入れていない:宿泊費が安くても、駅前や観光地の駐車場で1日1,000円以上かかる例があります。無料駐車場の有無は、予約前に確認しておきたい項目でした。
- キャンセル料の起算日を把握していない:宿によって無料期間の区切りが違います。天候が読みにくい季節は、キャンセル規定を読んでから予約するほうが結果的に安くつきます。
- 割引の適用条件を満たしていない:ETC休日割引には車種と区間の条件があり、外れていれば通常料金です。適用範囲は公式サイトで確認してください。
もうひとつの注意点は、連休に日程を寄せてしまうことでした。連休は宿も道路も需要が一点に集まります。連休そのものを外せない場合の考え方は、マネースタディ埼玉のシルバーウィークおすすめ旅行先10選|穴場スポットと節約のコツで扱いました。年ごとの旅の傾向を俯瞰したいときは2026年旅行トレンド|注目の旅先5選と賢い節約旅の楽しみ方も参考になります。
よくある質問
一泊二日の旅行はいくらぐらいかかるものですか?
公的統計の平均値でいえば、宿泊をともなう旅の1人1回あたり旅行支出は72,412円です(観光庁「旅行・観光消費動向調査」2025年年間値・確報)。ただしこれは全国・全期間の平均で、日帰りの20,000円との差が約5万円あります。移動距離を短くし、稼働率の低い施設を選べば平均より下に寄せられます。
穴場を探すなら、場所と日程のどちらを先に決めるべきですか?
日程です。客室稼働率は施設の種類で40.6%から74.2%まで開きがあり(観光庁「宿泊旅行統計調査」2026年7月・第1次速報)、同じ場所でも曜日と宿の選び方で空き方が変わります。行き先を固定してから日程を合わせると、選択肢が最も少ない状態から探すことになってしまいます。
埼玉から一泊二日で行くなら、電車と車のどちらが安いですか?
人数で変わります。1人から2人なら、特急料金を足しても鉄道のほうが総額を抑えやすい構成です。3人以上になると、高速代とガソリン代を人数で割れる車に分があります。ETC休日割引は普通車・軽自動車等限定で地方部が30%割引になるため、対象条件に合うかどうかも判断材料でした。
直前予約と早期予約では、どちらが得ですか?
一概には決まりません。旅館や簡易宿所のように稼働率が40.6%・30.9%と低い区分は直前でも部屋が残りやすく、ビジネスホテル(74.2%)のように埋まりやすい区分は早く押さえるほうが確実です。泊まりたい宿を決めてから、予約の時期を選んでください。
まとめ
ポイントは3つです。第一に、総額は行き先より「いつ・どんな宿に泊まるか」で動きました。観光庁の統計では泊まりの旅の単価が72,412円、日帰りが20,000円で、その差の大半は宿泊まわりの費用です。
第二に、客室稼働率は施設の種類で大きく割れています。2026年7月の全体は60.8%でしたが、旅館は40.6%、簡易宿所は30.9%にとどまりました。空室は数字の上で残っています。
第三に、埼玉発なら交通費の設計で差が出ます。所沢発の特急料金は600円で、池袋発の900円より上乗せ分が少なく済みました。車を使うなら、ETC休日割引で地方部が30%割引になる条件を満たせるかを先に確認してください。マネースタディ埼玉では、旅費を抑えながら出かけるための情報を今後も発信していきます。
本記事について
最終更新: 2026-09-12 / 編集: マネースタディ埼玉 編集部。本記事は2026年9月に公開されていた情報をもとに作成しました。※記載の料金・割引条件・統計値は、制度改定や調査の改定により変更される場合があります。最新情報は観光庁・各鉄道会社・各高速道路会社の公式サイトで必ずご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の金融・税務上の判断に代わるものではありません。お問い合わせはお問い合わせページ、個人情報の取り扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。
