📌 この記事の結論
ふるさと納税の上限額は、住民税の所得割額が分かればほぼ正確に求められます。目安表や簡易シミュレーションは前提条件が異なると数千円ずれるため、最後は自分の数字で確かめるのが確実です。
- 上限額の本体は「住民税所得割額の2割」。ここに所得税の還付分が上乗せされる
- 6月に届く住民税決定通知書の所得割額を使えば、電卓ひとつで計算できる
- 寄附先が5団体以内ならワンストップ特例で確定申告は不要になる
ふるさと納税の上限額とは、自己負担2,000円だけで寄附できる金額の限度です。総務省の現況調査によると、令和7年度の受入額は約1兆3,314億円、受入件数は約5,963万件で、いずれも過去最高を更新しました。令和8年度課税で住民税の控除を受けた人は、全国で約1,151万人にのぼります。
これだけ利用者が増えた一方で、上限額の計算だけは今も分かりにくいままです。なぜなら、寄附サイトの簡易シミュレーションは住宅ローン控除や医療費控除といった個別事情を反映しきれず、入力する前提が変わるだけで結果が数千円単位で動くからです。
マネースタディ埼玉編集部では、総務省と国税庁が公表している式をそのまま使い、自分の数字で上限額を出す手順を整理しました。初めてふるさと納税を利用する方でも、電卓ひとつで確かめられる順番に並べています。
ふるさと納税の上限額が決まる仕組み
ふるさと納税の控除は3階建ての構造です。寄附した額から2,000円を引いた金額が、次の3つに分かれて戻ってきます。
- 1階:所得税の軽減 差引後の金額に、自分の所得税率を掛けた分
- 2階:住民税の基本分 差引後の金額の10%
- 3階:住民税の上乗せ部分 残りを埋める枠で、ここが限度額を決めている
「住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合は、上記の計算式で決まります。」
3階部分は「特例分」と呼ばれ、ここが限度額を決めています。総務省の資料によると、この枠が所得割額の2割に収まる範囲であれば、寄附額から2,000円を引いた全額が戻ります。つまり「住民税所得割額の2割」が限度額の本体で、そこに所得税の軽減分が上乗せされた金額が上限になるわけです。
では2割を超えて寄附するとどうなるのか。総務省は、3つの控除を合計しても全額は控除されず、実質負担が2,000円を超えると明記しています。上限を1円超えた瞬間に全部が無駄になるわけではなく、超えた部分だけが自己負担として積み上がる形です。
上限額を左右する3つの要素
- 給与収入:所得割額のベースになるため、影響が最も大きい
- 家族構成:配偶者控除や扶養控除があるほど課税所得が下がり、上限も下がる
- 社会保険料など各種控除:iDeCoの掛金や医療費控除も所得割額を押し下げる
年収・家族構成別の上限額の目安(2026年版)
まず全体感をつかむための目安表です。社会保険料控除を給与収入の約14.5%、住宅ローン控除や医療費控除はなしと仮定した場合の概算で、公的機関が公表した確定値ではありません。前提が変われば数千円単位で動く点を前提にご覧ください。
| 給与収入 | 独身・共働き | 夫婦(配偶者控除あり) | 夫婦+高校生の子1人 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約28,000円 | 約19,000円 | 約11,000円 |
| 400万円 | 約42,000円 | 約33,000円 | 約25,000円 |
| 500万円 | 約61,000円 | 約49,000円 | 約40,000円 |
| 600万円 | 約77,000円 | 約69,000円 | 約60,000円 |
| 700万円 | 約108,000円 | 約86,000円 | 約78,000円 |
| 800万円 | 約129,000円 | 約120,000円 | 約110,000円 |
| 900万円 | 約152,000円 | 約141,000円 | 約131,000円 |
目安表をそのまま信じない方がよい理由
目安表は「他に控除がない人」を想定しています。住宅ローン控除やiDeCo、医療費控除を使っている人は所得割額そのものが下がるため、上限額も下がります。総務省も「具体的な計算は、お住まいの市区町村にお問い合わせください」と案内しており、表は入口の目安と考えるのが妥当です。筆者は目安表と通知書からの逆算で1万円近い差が出たケースを見てきたので、寄附額が5万円を超えるなら次の計算をおすすめします。
上限額を正確に出す2つの方法
正確に出す道は2つあります。手元に通知書があるかどうかで選んでください。
方法1:通知書の所得割額から逆算する

いちばん確実なのは、勤務先から6月頃に配られる住民税決定通知書を使う方法でしょう。なぜなら、そこに印字された所得割額は自治体が確定させた数字であり、給与所得控除や各種控除がすべて反映済みだからです。手順は3つだけ。
- 所得割額を確認する:市町村民税と道府県民税の所得割額を合計する
- 所得税率を確認する:国税庁の速算表で課税所得に対応する税率を調べる
- 次の式に当てはめる:上限額 = 所得割額 × 20% ÷ (90% - 所得税率 × 1.021) + 2,000円
式の1.021は復興特別所得税です。国税庁は、平成25年から令和19年までの各年分について、所得税と復興特別所得税を併せて申告・納付すると説明しています。読み取り方に迷ったら住民税決定通知書の見方を埼玉の実例で解説した記事もご覧ください。
例を2つ挙げましょう。所得割額23万円・税率10%の人であれば、23万円×20%=46,000円を0.7979で割り、2,000円を足して約59,700円が限度額です。所得割額40万円・税率20%の人なら、80,000円を0.6958で割って約117,000円になります。税率が上がるほど分母が小さくなり、枠は大きくなる関係です。
ここで使う税率は国税庁の速算表で決まります。課税所得195万円から330万円までが10%、330万円から695万円までが20%。給与収入ではなく課税所得で判定する点にご注意ください。
方法2:総務省ポータルの計算シミュレーションを使う
通知書が手元にない場合は、国税庁が案内している総務省ふるさと納税ポータルの「寄附金控除額の計算シミュレーション」を使う方法があります。源泉徴収票の支払金額と社会保険料等の金額を入力すれば概算が出ます。ただし住宅ローン控除などを併用している人は、出てきた金額をそのまま上限と考えず、少なめに寄附しておく方が安全です。
2026年は概算がずれやすい年である理由
2026年(令和8年分)の計算では、基礎控除の改正に注意が必要です。国税庁によると、令和6年分以前の基礎控除は一律48万円でした。
ところが令和7年分と令和8年分は、本人の合計所得金額に応じて95万円・88万円・68万円・63万円・58万円へと段階的に変わりました。自分で課税所得を出して限度額を求める方式だと、この改正を織り込まない限り答えがずれてしまう。方法1なら改正の影響は自治体側の計算に含まれており、この落とし穴を避けられます。
ふるさと納税のメリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 自己負担2,000円で返礼品を受け取れる | 上限を超えた分はそのまま自己負担になる |
| 寄附先と使い道を自分で選べる | 住民税の軽減は翌年6月以降で、効果を実感しにくい |
| 5団体以内なら確定申告が不要になる | 6団体以上に寄附すると申告の手間が発生する |
| 寄附額の一部が寄附先の地域の財源になる | 募集費用が受入額の47.9%を占め、地域に残る割合は約半分 |
4行目の数字は総務省の現況調査によるものです。令和7年度は受入額1兆3,314億円に対し、返礼品の調達費が3,528億円、募集費用の合計が6,382億円でした。返礼品の調達費は地方税法で寄附額の3割以下、募集費用の合計は総務省告示で5割以下と定められています。
ワンストップ特例の使い方と注意点
寄附先が5団体以内で、もともと確定申告の必要がない給与所得者であれば、ワンストップ特例が使えます。総務省は、平成27年度税制改正でこの仕組みが始まり、寄附先が5団体以内であれば控除に必要な申告が不要になると説明しています。
手続きの3ステップ
- 寄附時に申請を選ぶ:申込画面でワンストップ特例の希望を選択すると、自治体から申請書が届く
- 本人確認書類を添える:マイナンバーカードの写し、または通知カードと運転免許証などの組み合わせ
- 寄附先ごとに提出する:申請書は寄附1回ごとに必要で、5団体に寄附したなら5通提出する
提出後に引っ越しなどで内容が変わった場合は、寄附した翌年の1月10日までに変更届出書を提出します。年末に駆け込みで寄附すると書類の往復が間に合わないことがあるため、12月の寄附は受付期限を寄附先の案内で確かめておくと安心です。
申告するとワンストップ特例は無効になる
国税庁は、確定申告を行う場合には特例の申請が無効となり、申請済みの分も含めて寄附金控除額を計算する必要があると明記しています。医療費控除や住宅ローン控除の初年度手続きで確定申告をする人は、ふるさと納税分も必ず申告書に含めてください。ここを忘れると控除が丸ごと受けられません。住宅ローン控除の適用条件と手続きも合わせて確認しておくと、申告漏れを防げます。
埼玉県民のふるさと納税を数字で見る
総務省の統計には都道府県別の内訳も載っています。埼玉県に関する令和8年度課税の数字は、住民税控除額が559億3,200万円、控除を受けた人が726,540人でした。一方で、県内の自治体が令和7年度に受け入れた寄附は143億6,300万円、514,455件です。
控除額と受入額は集計の対象が異なるため単純な引き算はできません。それでも、埼玉県が寄附を送り出す側に大きく傾いた県であることは読み取れます。
マネースタディ埼玉が地元向けに補足すると、県外へ寄附するだけでなく地元自治体への寄附も選択肢に入れておく価値があります。なぜなら、寄附額の一部は募集費用を除いて住んでいる地域の財源として残るからです。ただし自分が住む自治体へ寄附した場合、控除は受けられますが返礼品は受け取れません。
なお、iDeCoの掛金が多い人は所得割額が下がるため、ふるさと納税の上限額も下がります。iDeCoの始め方と掛金上限の記事で自分の掛金を確認してから、寄附額を決める順番がおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q1. ふるさと納税の上限額を超えた場合はどうなりますか?
超えた部分は控除されず、そのまま自己負担になります。総務省も、特例分が住民税所得割額の2割を超える場合は3つの控除を合計しても全額は控除されず、実質負担額が2,000円を超えると説明しています。上限6万円の人が10万円寄附した場合、超過分がそのまま持ち出しになる計算です。年末の駆け込み寄附の前に、住民税決定通知書で再確認してください。
Q2. ワンストップ特例と確定申告は併用できますか?
併用はできません。国税庁は、確定申告を行うとワンストップ特例の申請が無効になり、特例を申請した分も含めて寄附金控除額を計算する必要があると案内しています。医療費控除などで確定申告をする人は、ふるさと納税分もすべて申告書に含めてください。
Q3. 住宅ローン控除を受けていてもふるさと納税はできますか?
できます。ただし住宅ローン控除で所得税と住民税が減っている分、寄附できる枠は狭くなる点に注意しましょう。同じ控除の額が大きく、住民税からの控除枠を使い切っている人は、目安表よりかなり小さい金額になることもある。通知書の所得割額から逆算する方法で確かめてください。
まとめ:上限額で失敗しないための5つの確認
つまり、寄附できる金額は住民税所得割額の2割を軸に決まります。判断のポイントは、目安表で当たりをつけてから通知書の数字で答え合わせをすることです。2026年8月27日時点の公的資料をもとに、寄附前の確認事項を5つに整理しました。
- 上限額の本体は住民税所得割額の20%である
- 目安表は他の控除がない前提の概算にすぎない
- 住民税決定通知書の所得割額から逆算すると精度が上がる
- 住宅ローン控除やiDeCoを使っている人は上限が下がる
- 5団体以内ならワンストップ特例、確定申告をするなら特例は無効になる
マネースタディ埼玉では今後も、総務省や国税庁が公表する一次資料をもとに、埼玉で暮らす人の家計に役立つ情報を整理して発信していきます。
📝 免責事項と注記
本記事は総務省および国税庁が公表した資料をもとに作成しています。掲載内容は2026年8月27日時点の情報です。制度は改正される場合がありますので、最新の情報は総務省と国税庁の公式サイトでご確認ください。
※ 目安表および計算例は一定の前提を置いた概算であり、税額を保証するものではありません。総務省も具体的な計算は居住する市区町村へ問い合わせるよう案内しています。
※ 本記事は税務相談ではありません。個別の判断は、税理士など有資格者または所轄の税務署にご相談ください。お問い合わせはお問い合わせページ、個人情報の取り扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。運営方針は免責事項に記載しています。
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