📌 この記事の結論
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えたとき、確定申告で税金が戻る制度です。マネースタディ埼玉では、計算式と申告手順を埼玉の共働き世帯の家計目線で整理しました。
- 控除の下限は原則10万円。総所得200万円未満なら総所得の5%が下限
- 医療費が少ない年は「セルフメディケーション税制」が有利なケースもある
- 会社員は年末調整では受けられず、自分で確定申告が必要
「歯の治療と家族の通院で、けっこう医療費がかかった気がする。でも、いくらから戻るのか分からない」。マネースタディ埼玉に寄せられる相談で、毎年2月頃に増えるのがこのテーマです。共働きで子どもがいる世帯ほど、出産や通院、歯科矯正などで年間の医療費は膨らみやすい。にもかかわらず、医療費控除を一度も申告したことがない、という人が意外と多いのが実情です。
医療費控除は、難しそうに見えて計算式は1本だけ。レシートと源泉徴収票がそろえば、確定申告書等作成コーナーで30分ほどあれば入力できます。この記事では、2026年(令和7年分)の確定申告に向けて、対象になる費用、計算方法、申告の流れ、そして見落としやすいセルフメディケーション税制との使い分けまでを順番に解説します。
医療費控除とは何か|国税庁が定める基本の仕組み
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に、自分または生計を一にする家族のために支払った医療費が一定額を超えたとき、その超えた分を所得から差し引ける制度です。所得が減るぶん、所得税と住民税が軽くなります。
国税庁のタックスアンサー(No.1120 医療費を支払ったとき)によると、控除額は次の式で計算します。
「(その年中に支払った医療費の総額) −(保険金などで補填される金額) −(10万円。総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)=医療費控除額(最高200万円)」
ポイントは2つあります。1つは、差し引く「足切り額」が原則10万円であること。もう1つは、総所得が200万円未満の人は10万円ではなく「総所得の5%」が足切りになる点です。たとえばパート収入で総所得が150万円なら、足切りは7万5,000円。10万円に届かない医療費でも控除できる場合があるわけです。
対象になる医療費・ならない医療費の境界線
「どこまでが医療費として認められるのか」は、つまずきやすいところです。国税庁(No.1122 医療費控除の対象となる医療費)の整理を家計目線で言い換えると、おおむね次のように分かれます。
対象になるのは、病気やケガの治療を目的とした支出です。病院・歯科の診療費、治療のための医薬品、通院の電車・バス代、出産費用、医師の指示によるはり・きゅう、子どもの歯列矯正(発育上必要と認められる場合)などが該当します。
一方、対象にならないのは予防や美容、快適さのための支出です。人間ドックや健康診断の費用(ただし、その結果重大な疾病が見つかり治療した場合は対象)、ビタミン剤などの健康増進目的のサプリ、美容整形、自家用車での通院ガソリン代・駐車場代などは原則として認められません。マネースタディ埼玉に届く質問でも、この「予防か治療か」の線引きで迷う声がもっとも多く寄せられます。
医療費控除のメリット・デメリット
| メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|
| ✅ 所得税の還付に加え、翌年の住民税も軽くなる | ⚠️ 年末調整では受けられず、自分で確定申告が必要 |
| ✅ 生計が同じ家族の医療費を合算でき、所得の高い人がまとめると有利 | ⚠️ 保険金や高額療養費で補填された分は差し引く必要がある |
| ✅ 通院の交通費も対象になり、家計の実態に近い控除が取れる | ⚠️ 領収書は提出不要だが5年間の保存義務がある |
埼玉の共働き世帯でシミュレーション|いくら戻るのか
具体的な数字で考えてみます。さいたま市在住、夫の課税所得が400万円(所得税率20%)、妻がパートというモデル世帯を想定します。なお、これは制度の計算方法を示すための仮の数値例です。
この年、家族全体の医療費が年間28万円かかり、出産育児一時金などの補填が0円だったとします。控除額は「28万円 − 10万円 = 18万円」。これを所得税率20%の夫の申告に乗せると、所得税の還付はおよそ「18万円 × 20% = 3万6,000円」。さらに住民税(税率10%)も翌年度から「18万円 × 10% = 1万8,000円」軽くなります。合わせて5万円超の負担減です。
ここで効いてくるのが「所得の高い人にまとめる」考え方です。医療費控除は生計を一にする家族の分を合算できるため、税率の高い人(=所得の高い人)の申告に集約したほうが、戻る金額は大きくなります。マネースタディ埼玉が家計相談で必ず確認するのも、この合算先の選び方です。控除をフルに使う発想は、ふるさと納税の上限額計算とも共通します。
セルフメディケーション税制との使い分け
医療費が10万円に届かない年でも、あきらめる必要はありません。「セルフメディケーション税制」という選択肢があります。
これは医療費控除の特例で、健康診断や予防接種などの一定の取り組みをしている人が、対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間1万2,000円を超えて購入した場合に使えます。厚生労働省の解説によると、控除額は次のとおりです。
「実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除く)から1万2,000円を差し引いた金額(最高8万8,000円)」
注意点は、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は「どちらか一方しか選べない」こと。両方を同時には使えません。風邪薬や鎮痛薬を家族でよく買う年で、病院代がそれほどでもなかった、というケースでは、レシートを集計してどちらが得かを比べるのが現実的です。判断材料を集めるという意味でも、薬局のレシートは捨てずに残しておきましょう。
確定申告の具体的な手順|会社員でも30分で終わる
会社員の場合、医療費控除は年末調整の対象外なので、自分で確定申告をします。流れは次の5ステップです。
- 1年分の医療費の領収書・レシートを家族ごと、医療機関ごとに集計する
- 健康保険組合から届く「医療費のお知らせ」を活用し、医療費集計フォームまたは医療費控除の明細書を作る
- 源泉徴収票を手元に用意する
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に沿って入力する
- e-Taxまたは郵送・窓口で提出する(還付申告は1月から可能)
領収書そのものの提出は不要ですが、5年間の保存義務があります。捨てずに封筒や箱にまとめておきましょう。なお、過去5年分はさかのぼって還付申告ができるため、「去年も医療費がかさんでいた」という人は、まだ間に合う可能性があります。住宅を取得した年なら、住宅ローン控除の初年度申告と合わせて手続きするのが効率的です。
マネースタディ埼玉では今後も、埼玉の共働き世帯が無理なく続けられる節税と家計管理の実践情報を発信していきます。レシート1枚から始められる医療費控除は、その第一歩としておすすめです。
📝 免責事項
本記事は国税庁・厚生労働省など公的機関の公開情報をもとにマネースタディ埼玉編集部が作成しています。掲載情報は2026年6月時点のものであり、税制は改正される場合があります。個別の申告については最寄りの税務署または税理士にご確認ください。本記事の内容についてマネースタディ埼玉は法的責任を負いかねます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 医療費控除は家族の分もまとめて申告できますか?
はい。生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費は合算できます。所得税率の高い人(所得の多い人)の申告にまとめたほうが、戻る金額は大きくなる傾向があります。
Q2. 通院の交通費は対象になりますか?
公共交通機関(電車・バス)での通院費は対象です。一方、自家用車のガソリン代や駐車場代は原則対象外です。やむを得ないタクシー代は認められる場合があります。
Q3. 医療費が10万円に届かない年でも控除はできますか?
総所得が200万円未満の場合は足切りが「総所得の5%」となり、10万円未満でも控除できることがあります。また市販薬の購入が多い年は、セルフメディケーション税制(年1万2,000円超で適用)を選べる場合があります。
