iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で積み立てた掛金を自分で運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金制度です。掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税になるため、共働き世帯が老後資金を準備する手段として注目されています。マネースタディ埼玉では、2026年最新の制度をもとに「埼玉の共働き世帯がiDeCoをどう始めるべきか」を整理しました。
- iDeCoの仕組みと3つの税制メリット(掛金・運用益・受取時)
- 職業・年収別の掛金上限額(2024年12月改正後の最新値)
- 口座開設から運用開始までの5ステップと注意点
iDeCoの加入者は年々増えており、国民年金基金連合会の「iDeCoの加入等の概況」によると、加入者数は令和8年(2026年)3月時点で約392.8万人に達しました。対象拡大前の2016年12月末の約30.6万人から、約10年で12倍以上に拡大した計算になります。筆者は本記事で、共働き世帯が判断に必要な公開データを整理しました。なお最低掛金は月5,000円、1,000円単位で設定でき、無理なく始められる点が共働き世帯に向いています。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?仕組みをわかりやすく解説
iDeCoとは、加入者が毎月一定額の掛金を拠出し、自分で選んだ投資信託や定期預金などで運用して、原則60歳以降に年金または一時金として受け取る制度です。公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せする「3階部分」にあたり、老後資金を自助努力で準備する仕組みとして国が整備しています。
なぜ共働き世帯にとって有力な選択肢なのかというと、iDeCoには「拠出時・運用時・受取時」の3段階で税制優遇があるからです。とくに掛金が全額所得控除になるため、夫婦それぞれが加入すれば世帯全体の課税所得を二重に圧縮できます。厚生労働省の資料によると、2024年12月の制度改正で会社員・公務員も事業主証明書が不要になり、勤務先への申請なしで加入できるようになりました。手続きのハードルが下がった点も、共働き世帯が始めやすくなった背景です。
iDeCoは2026年6月時点で、原則20歳以上65歳未満の国民年金被保険者が加入できます。受け取りは加入期間に応じて60歳〜65歳から開始でき、遅くとも75歳までに受け取りを始める必要があります。
iDeCoのメリット・デメリットを正直に比較
iDeCoは税制メリットが大きい一方で、原則60歳まで引き出せないという明確なデメリットもあります。マネースタディ埼玉が公開情報を整理したところ、メリットとデメリットは次のように対比できます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 掛金が全額所得控除(所得税・住民税が軽減) | 原則60歳まで引き出せない(流動性が低い) |
| 運用益が非課税(通常は約20%課税) | 口座管理手数料が毎月かかる |
| 受取時も退職所得控除・公的年金等控除が使える | 運用成績によっては元本割れの可能性 |
| 夫婦それぞれ加入で世帯の節税効果が二重に | 専業主婦(夫)は所得控除メリットを受けにくい |
一方で、注意したいのは「節税額」と「手数料」の関係です。掛金が少額だと、口座管理手数料が相対的に重くのしかかります。なぜなら手数料は掛金額にかかわらず定額でかかるため、月5,000円の人も月2万円の人も同額を負担するからです。全国銀行協会などが公開する金融リテラシーの考え方でも、長期・積立・分散と並んでコストの確認が基本とされています。
職業・年収別 iDeCoの掛金上限額はいくら?(2024年12月改正後)
iDeCoの掛金には、国民年金の被保険者区分(職業)ごとに上限が設けられています。国民年金基金連合会が公表する区分別の上限は次のとおりです。共働き世帯では、夫婦それぞれの働き方で上限が変わる点に注意してください。
- 自営業・フリーランス(第1号被保険者):月額6.8万円(国民年金基金等との合算枠)
- 会社員で企業年金なし(第2号):月額2.3万円
- 会社員で企業型DCのみ加入(第2号):月額2.0万円
- 会社員でDB等に加入(第2号):企業年金等との合算で月5.5万円の枠内で調整
- 公務員(第2号):月額2.0万円(2024年12月改正で1.2万円から引き上げ・年額14.4万円→24万円)
- 専業主婦(夫)(第3号):月額2.3万円
正直なところ、自分がどの区分に当てはまるか迷いやすいのがこの部分です。実際にiDeCoを利用する人は、まず「勤務先に企業年金があるか」を給与明細や勤務先の制度資料で確認するところから始めると整理しやすくなります。たとえば埼玉県内に多い共働き会社員世帯では、夫婦とも企業年金なしの会社員であれば、二人合わせて月4.6万円(年55.2万円)まで拠出でき、その全額が所得控除の対象になります。所得控除による住民税の軽減については住民税の仕組みと節税術でも詳しく解説しています。
厚生労働省の資料によると、公務員の年間拠出限度額は14.4万円から24万円へと大きく拡大しました。共働きで片方が公務員という世帯では、改正によって節税余地が広がった点を見直す価値があります。
iDeCoを始める手順と注意点・よくある失敗
iDeCoは「金融機関選び」で長期コストが決まるため、口座開設の順番を間違えないことが大切です。基本的な流れは次の5ステップです。
- 自分の被保険者区分と掛金上限を確認する
- 運営管理機関(証券会社・銀行)を、口座管理手数料と商品ラインナップで比較する
- 加入申出書を提出する(2024年12月以降、会社員・公務員も事業主証明書は不要)
- 運用する商品(投資信託・定期預金など)と配分を決める
- 毎月の掛金を拠出し、年1回を目安に配分を点検する
国民年金基金連合会のiDeCo公式サイトでは「60歳まで引き出せないため、無理なく継続して拠出できる掛金額を設定しましょう」と注意を促しています。生活防衛資金を別に確保したうえで始めるのが安全です。
よくある失敗は、手数料の高い金融機関を比較せずに選んでしまうことと、家計を圧迫する金額を設定して途中で拠出を止めてしまうことです。掛金は年1回変更でき、いったん停止することもできます。リスクを抑えたい人は、まず月5,000円から始めて家計の様子を見るのも一つの方法です。
よくある質問(iDeCoのQ&A)
iDeCoとNISAはどちらを優先すべきですか?
目的が異なります。iDeCoは老後資金専用で60歳まで引き出せない代わりに掛金が所得控除になります。NISAはいつでも引き出せる柔軟さが強みです。教育費など途中で使う可能性がある資金はNISA、確実に老後まで置ける資金はiDeCo、と役割分担する考え方が一般的です。NISA枠の使い分けは新NISA成長投資枠と積立投資枠の使い分けもあわせてご覧ください。
専業主婦(夫)でもiDeCoに加入するメリットはありますか?
運用益が非課税になるメリットはありますが、課税所得がない場合は掛金の所得控除メリットを受けられません。世帯としては、まず所得のある配偶者の枠を優先的に使う方が節税効率は高くなります。
掛金は途中で変更・停止できますか?
掛金額は年1回変更でき、拠出自体を一時停止することもできます。ただし停止中も口座管理手数料はかかるため、家計の状況に応じて減額で対応する選択肢も検討するとよいでしょう。
まとめ:埼玉の共働き世帯がiDeCoで押さえるべきポイント
結論として、iDeCoは「老後まで使わない資金」を前提に、夫婦それぞれの掛金上限を活かして所得控除を二重に取りにいくのが共働き世帯の王道です。ポイントは次の3点です。
- 掛金は全額所得控除・運用益非課税・受取時も控除があり、税制メリットが3段階
- 上限は職業で異なり、2024年12月改正で公務員は月2.0万円(年24万円)に拡大
- 60歳まで引き出せないため、生活防衛資金を確保してから無理のない額で始める
iDeCoの加入者は約392.8万人(2026年3月時点・国民年金基金連合会)まで増えています。マネースタディ埼玉では今後も、埼玉在住の共働き世帯に役立つお金の制度情報を発信していきます。
最終更新: 2026-06-07
※本記事は一般的な情報提供を目的とし、個人の感想を含みます。税制・制度は改正される場合があるため、最新情報はiDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)や金融機関の窓口でご確認ください。
※具体的な掛金額・運用商品の選択は、ご自身の家計やリスク許容度に応じてご判断ください。
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出典:国民年金基金連合会「iDeCoの加入等の概況」 / 厚生労働省「公務員のiDeCo拠出限度額の引き上げ」
