iDeCo(個人型確定拠出年金)は「始め方」の情報があふれていますが、いざ受け取る段になると「一時金と年金、どちらが得なのか」で多くの人が迷います。実は、受け取り方ひとつで手取りが数十万円単位で変わることも珍しくありません。
iDeCoの受け取り方とは、60歳以降に積み立てた資産を「一時金(一括)」「年金(分割)」「併用」のいずれかで受け取る仕組みのことです。どれを選ぶかで使える控除と税金が変わるため、受け取る前に知っておくことが手取りを守るカギになります。
結論:iDeCoの受け取り方は「一時金」「年金」「併用」の3つ。一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除が使え、退職金との重なり方しだいで有利な選び方が変わります。
この記事でわかること(2026年最新の税制をもとに整理):
- 3つの受け取り方の違いと、それぞれに使える控除
- 一時金と年金の損得を分ける「退職金との重複」の考え方
- 2026年度税制改正で見直された受け取りルールの注意点
マネースタディ埼玉では、国税庁のタックスアンサーや厚生労働省の資料を読み比べ、埼玉で働く会社員の方が判断しやすい形に整理しました。筆者は2026年7月時点の情報を確認し、正直なところ、受け取り方の設計は「始め方」以上に手取りを左右すると感じています。実際に受け取りを迎える人は、退職金額から逆算して選ぶとスムーズです。税制は改正される場合があるため、最終的な適用は必ず公式情報でご確認ください。iDeCoの始め方から確認したい方はiDeCoの始め方2026もあわせてどうぞ。
iDeCoの受け取り方は3種類|まず全体像を押さえる
iDeCoの受け取り方は、「一時金(一括)」「年金(分割)」「併用」の3種類から選べます。どれを選ぶかで、かかる税金の種類が変わるのが最大のポイントです。
なぜなら、受け取り方によって適用される控除が異なるからです。国税庁のタックスアンサーによると、一時金は「退職所得」として退職所得控除の対象になり、年金は「雑所得(公的年金等)」として公的年金等控除の対象になります。
| 受け取り方 | 税金の区分 | 使える控除 |
|---|---|---|
| 一時金(一括) | 退職所得 | 退職所得控除 |
| 年金(分割) | 雑所得(公的年金等) | 公的年金等控除 |
| 併用 | 両方 | 退職所得控除+公的年金等控除 |
受け取りを始められるのは、原則として60歳から75歳までの間です。国民年金基金連合会のデータによると、iDeCoの加入者はすでに約350万人を超えており※、これから受け取り期を迎える世代が急増していきます。
一時金と年金、どちらが得?メリット・デメリット比較

結論から言えば、退職金が少なめの人や勤続年数が長い人は一時金、公的年金以外の収入を平準化したい人は年金や併用が有利になりやすい傾向があります。ただし個々の条件で逆転するため、控除の仕組みを理解することが欠かせません。
一時金に使う退職所得控除は非常に手厚く、国税庁のタックスアンサー(No.1420)によると、勤続(加入)年数に応じて次のように計算します。
- 加入年数20年以下:40万円 × 年数(最低80万円)
- 加入年数20年超:800万円 + 70万円 ×(年数−20年)
さらに、退職所得は「(受取額 − 退職所得控除)× 2分の1(50%)」だけが課税対象になります。控除が大きいうえに半分課税なので、一時金は税制上とても有利です。
| 受け取り方 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 一時金 | 退職所得控除が手厚く、課税は2分の1。まとまった資金を確保できる | 退職金と重なると控除を使い切れないことがある |
| 年金 | 公的年金等控除が使え、収入を分散できる | 受給ごとに手数料がかかる。他の年金と合算で課税が増える場合も |
| 併用 | 両方の控除を活かせ、調整の自由度が高い | 計算が複雑で、金融機関の対応可否も確認が必要 |
一方で年金受け取りには、国税庁の資料によると公的年金等控除(65歳未満は最低60万円、65歳以上は最低110万円)が使えます。給付のたびに1回440円程度の手数料がかかる点は見落とされがちです。
受け取り方を決める手順|4ステップで判断する
受け取り方を決めるときは、感覚ではなく「退職金との関係」から逆算するのが失敗しないコツです。実際にiDeCoの受け取りを考える人は、次の順で整理すると迷いにくくなります。
- 会社の退職金の有無と金額を確認する——退職所得控除は退職金とiDeCo一時金で共有するため、まず退職金額を把握します。
- 加入年数から退職所得控除額を計算する——上の式に当てはめ、控除の枠がどれだけ残るかを見ます。
- 一時金で控除を使い切れるか判定する——退職金+iDeCo一時金が控除内に収まれば一時金が有利です。
- 収まらない分は年金・併用に回す——控除をはみ出す部分を年金受け取りに振り分け、課税を平準化します。
マネースタディ埼玉では、NISAとの併用で老後資金を組み立てる考え方も紹介しています。あわせて新NISA成長投資枠と積立投資枠の使い分けもご覧ください。
注意点・よくある失敗|2026年度改正の「10年ルール」に注意
最大の注意点は、退職金とiDeCo一時金を近い時期に受け取ると、退職所得控除が重複調整されて税負担が増えることです。ここを知らずに同じ年に両方を受け取り、想定より税金が増えるケースが後を絶ちません。
退職手当等が2か所以上から支払われる場合や、前に退職手当等を受け取っている場合は、退職所得控除額の計算方法が異なります(国税庁 タックスアンサー No.1420 より要約)。
従来は「iDeCoの一時金を先に受け取った後、5年以内に退職金を受け取ると控除が調整される(5年ルール)」とされてきました。厚生労働省や国税庁の情報によると、この期間は2026年度の税制改正で「10年」に見直されたため、受け取り順とタイミングの設計がこれまで以上に重要になっています※。適用時期の詳細は必ず最新の公式情報でご確認ください。
そのほか、次の点も失敗しやすいポイントです。
- 年金受け取りは受給のたびに手数料がかかるため、回数が多いと目減りする
- 60歳時点で加入から10年未満の場合、受給開始が後ろ倒しになることがある
- iDeCoの掛金は拠出時に全額(100%)が所得控除になる制度。受け取り時の課税とセットで考える
よくある質問(FAQ)
一時金と年金、結局どちらがお得ですか?
退職金が少なく加入年数が長い人は一時金、公的年金以外の収入を平準化したい人は年金や併用が有利になりやすい傾向です。退職金額と退職所得控除の枠を計算して判断するのが確実です。
退職金とiDeCoを同じ年に受け取ってもいいですか?
受け取れますが、退職所得控除を共有するため控除を使い切れず税負担が増えることがあります。受け取り順とタイミングをずらす設計が有効です。
受け取りは何歳から何歳まで可能ですか?
原則60歳から75歳までの間に受け取りを開始します。加入期間が短い場合は開始年齢が後ろ倒しになることがあります。
年金受け取りに税金はかかりますか?
雑所得(公的年金等)として公的年金等控除の対象になります。公的年金など他の収入と合算されるため、合計額によって課税が変わります。
まとめ
結論として、iDeCoの受け取りは「増やす」より「税金でどれだけ目減りさせないか」が勝負です。ポイントは次の3点です。
- 受け取り方は一時金・年金・併用の3つ。使える控除がそれぞれ異なる
- 退職所得控除は40万円/年(20年超は800万円+70万円/年)+課税2分の1と手厚い
- 退職金との重複と2026年度改正の「10年ルール」を踏まえ、受け取り順を設計する
次の一歩として、まずは会社の退職金額と自分の加入年数を書き出してみてください。マネースタディ埼玉では今後も、埼玉で働く方の家計と老後資金づくりに役立つ情報を発信していきます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個人の見解を含みます。税制・控除は改正される場合があり、数値は2026年時点の公開情報をもとにしています。実際の手続き・税額は国税庁・お勤め先・税理士等にご確認ください。
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最終更新: 2026年7月/出典: 国税庁 No.1420 退職所得・国税庁 No.1600 公的年金等・厚生労働省 確定拠出年金・iDeCo公式/ご質問は各サイトのお問い合わせフォームから。詳しくはプライバシーポリシー・免責事項・運営者情報をご覧ください。
